宇宙/JAXA ジャクサ うちゅう/じゃくさ

イプシロンロケット2号機 2016.12.19 小林勝

ジオスペース探査衛星(ERG)/イプシロンロケット2号機 

明日 12月20日 20:00打ち上げ

 ライブ中継

<引用> NHKニュース 2016.12.19 小林勝

日本の新しい小型ロケット、「イプシロン」の2号機が、地球周辺の放射線を調べる探査衛星を載せて、20日、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。

日本の新しい小型ロケット「イプシロン」は、重さが数百キロクラスの小型の人工衛星を低価格で打ち上げるために、JAXA=宇宙航空研究開発機構がIHIエアロスペースとともに開発したもので、3年前に1号機の打ち上げに成功しました。


今回の2号機では、全長を1メートル60センチ伸ばして、26メートルにしたうえで、2段目のエンジンを強化する改良が加えられ、1号機より打ち上げ能力が30%高められています。
この改良で、打ち上げが可能な衛星の重さは、1号機より140キロ増えて、590キロとなりました。
また、2号機の打ち上げ費用は、およそ50億円で、以前の小型ロケットの3分の2に抑えられています。
JAXAでは、今回の改良型の打ち上げを成功させることで、今後、需要の増加が見込まれる、新興国などの小型衛星を打ち上げるビジネスの受注につなげたいとしています。


今回の「イプシロン」2号機には、地球周辺を飛び交う放射線の実態を詳しく調べる「ジオスペース探査衛星」が搭載され、20日午後8時に、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられます。

コスト削減でも信頼性示せるか

日本は、この10年余り、大型ロケット「H2A」と「H2B」の打ち上げに31回連続で成功し、世界のロケットの中でも信頼性が高まっていますが、コストがまだまだ高いという課題があります。
一方で、今回の小型ロケット「イプシロン」は、より低価格での打ち上げを目指しており、コストを削減しても世界に高い信頼性を示すことができるのか、注目されています。


全長56メートルの大型ロケット「H2B」は、高度400キロ付近の国際宇宙ステーションに向けておよそ16トン分もの大型の機器を運ぶ能力があり、今月9日には、宇宙輸送船「こうのとり6号機」の打ち上げに成功しました。
また、全長53メートルの大型ロケット「H2A」は、高度3万6000キロ付近の「静止軌道」に向けておよそ4トンの衛星を運ぶ能力があり、先月2日には気象衛星「ひまわり9号」の打ち上げに成功しました。
このように、重さが数トン以上もある世界最先端の大型の衛星や宇宙船を運ぶことができる日本の大型ロケット「H2A」と「H2B」は、2005年以降この10年余りの間に、31回連続で打ち上げに成功し、世界のロケットの中でも信頼性が高まっています。
しかし、「H2A」と「H2B」は、打ち上げコストが100億円以上と高額なことが大きな課題となっていて、コストを削減するための後継機、「H3」の開発も始まっています。


一方、今回、打ち上げられる全長26メートルの小型ロケット「イプシロン」は、高度500キロ付近の地球を回る軌道に向けて、重さが590キロまでの小型の衛星を運ぶことができます。
「イプシロン」は、点検作業の一部をコンピューターに任せるなどして、コストの削減が進められた結果、打ち上げ費用はおよそ50億円と大型ロケットの半分になり、JAXAは、さらなる低価格での打ち上げを目指しています。
重さが「500キロ前後」の小型の衛星は、一定の高い性能を持ちながらも価格を安く抑えられることから、今後、新興国などの間で、農地や森林などの国土の管理や、災害への対応などを行うために、打ち上げ需要が高まると予測されています。
 

JAXAによりますと、「イプシロン」で打ち上げるのに適している、重さが300キロから600キロの衛星は、2020年以降、海外では毎年5機程度の需要があると予測され、JAXAでは、このうち毎年1機の受注を目指しているということです。
こうした、打ち上げビジネスの受注に向けて、コストを削減しても世界に高い信頼性を示すことができるのか、注目されています。
さらに、電子部品の小型化に伴って、手で持ち運べるサイズの「超小型衛星」を打ち上げるミニロケットが、来月、新たに登場します。
JAXAは、「超小型衛星」専用の全長9メートル余りという電柱サイズのミニロケットを新たに開発し、来年1月11日に、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる予定です。
打ち上げコストは、衛星の開発費と合わせてもおよそ4億円と、大型ロケットの数十分の1となっています。


価格が安い超小型衛星をめぐっては、2年後には、世界での打ち上げ需要が、通信や観測などの目的で年間300機を超えるという予測もあり、日本ではベンチャー企業も独自にミニロケットの開発を進めるなど、新たなジャンルとして注目されています。
人工衛星の開発をめぐって、高度な機能を求める大型化と、コストダウンを狙う小型化とが進む中、日本のロケットの種類もそれぞれのニーズに合わせて多様化しています。

<引用> 讀賣新聞・こうのとり6号 2016.12.13 小林勝

こうのとり6号 国際宇宙セテーション(ISS)に到着 2016.12.13

<写真引用> 讀賣新聞 2016年12月13日 21時03分

国際宇宙ステーションに到着し、ロボットアームで

キャッチされた無人補給船「こうのとり」

(NASAテレビから)

鹿児島県の種子島宇宙センターから9日に打ち上げられた日本の無人補給船「こうのとり」6号機が13日夜、高度約400キロ・メートルを飛行する国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。

ドッキングが完了するのは14日未明の予定だ。

 

 茨城県つくば市の宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ) 筑波宇宙センター運用管制室では、管制を行う職員ら約40人が到着を待った。宇宙空間に浮かぶ金色に輝くこうのとりの船体に向かって、ISSに滞在する宇宙飛行士が、船体をつかむロボットアームを操作。午後7時39分にキャッチに成功すると、職員が一斉に拍手して到着を祝った。作業に当たった宇宙飛行士は、通信で「金の宝箱が届いた」と話したという。