第2次補正予算案 きょう閣議決定 新型コロナ 追加の経済対策

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府は店舗の賃料の支援や企業の財務基盤の強化など追加の対策を実行するための今年度の第2次補正予算案を27日、閣議決定します。

追加の対策に盛り込まれた主な政策をみますと、地域の医療提供体制を強化するための「緊急包括支援交付金」を増額し医療従事者などに慰労金として最大20万円を支給します。

また、店舗の賃料の負担を軽減するため、売り上げが一定程度落ち込んだ事業者を対象に原則、賃料の3分の2を半年分給付する新たな制度を設けます。

雇用調整助成金の1日当たりの上限額を1万5000円に引き上げるとともに、勤め先から休業手当を受け取れない人には月額33万円を上限に支援金を給付する制度を創設します。

さらに、企業の財務基盤の強化に向けた出資などの資金枠を12兆円程度設けるほか、地方自治体の財政を支援するために設けた「地方創生臨時交付金」の2兆円の増額や、感染症対策に備えた予備費の大幅な積み増しなどを盛り込むことにしています。

国と地方の財政支出に金融機関の融資などを合わせた「事業規模」は100兆円を上回る規模となり、政府は27日、これを実行するための今年度の第2次補正予算案を閣議決定することにしています。

必要な財源は赤字国債を追加発行するなどして賄う方針です。

感染拡大防止 医療体制整備への支援

感染拡大防止 医療体制整備への支援
<包括支援交付金>
病床の確保や人工呼吸器の整備など、地域の医療提供体制を強化するため「緊急包括支援交付金」を現在の1490億円から大幅に増額します。患者を受け入れている医療機関の従事者や感染が発生した介護施設などの職員に対して慰労金として最大20万円を給付します。そのほかの医療機関などで働く人には5万円を支給するとしています。

<診療報酬の引き上げ>
重症や中等症の患者を受け入れた医療機関は治療に多くの人手が必要になっていることなどから、診療報酬を先月に続いてさらに引き上げます。具体的にはICU=集中治療室に入院して「ECMO(エクモ)」と呼ばれる人工心肺装置をつけた重症患者などの治療に対する報酬や酸素吸入が必要な中等症以上の入院患者の治療に当たった場合などの加算を3倍にします。これについては、第2次補正予算案に先立って予備費で159億円を支出することを決めています。

<医療機関の収入保障>
感染症の患者の専用病床を設けている医療機関について病床が空いている場合でも収入を保障します。

<医療用物資の確保>
感染拡大を受けて医療現場では医療用のマスクやガウンなどが不足していることから、国がメーカーなどからこうした医療物資を買い上げ、患者を受け入れている医療機関に優先的に配布します。これについても1680億円を感染症対策の予備費から支出することを決めています。

<治療薬・ワクチン>
また、新型コロナウイルスへの効果が期待されている治療薬やワクチンの開発資金を国が補助するほか、早期の実用化に向けて、生産体制の整備を進めます。

<妊婦PCR検査>
生まれてきた赤ちゃんや立ち会いの助産師などが新型コロナウイルスに感染するリスクを軽減するため出産間近の妊婦で、希望する人には国が費用を全額補助してPCR検査を実施します。

雇用維持・生活への支援

雇用維持・生活への支援
<雇用調整助成金の拡充>
一時的な休業などで従業員の雇用維持を図る企業に対して、休業手当などの一部を助成する「雇用調整助成金」を抜本的に拡充します。具体的には現在、1人1日当たり8330円となっている上限額を1万5000円、月額でみると33万円に引き上げます。

上限額や助成率の引き上げの特例が適用される期間は、ことし4月から6月末までとしていましたが、これを9月末まで延長し、解雇を行わない中小企業には全額を助成します。

<休業手当の直接給付>
勤め先の企業の資金繰りの悪化などの理由で休業手当を受け取れない人に対しては、国が直接、給付する新たな制度を創設します。中小企業で働く人が対象で、給付率は休業前の賃金の8割とします。上限額は雇用調整助成金の水準と合わせて月額33万円とし、適用される期間もことし4月から9月末までとなります。

<ひとり親世帯への支援>
経済的に厳しい状況に置かれているひとり親世帯に臨時の給付金を支給します。児童扶養手当の受給世帯に5万円を支給し、第2子以降は3万円を加算するのに加え、児童扶養手当を受けていないひとり親世帯でも収入が大きく減少した場合は5万円を支給します。

<学生に最大20万給付>
休業の影響でアルバイトの収入が減少した学生に10万円、このうち、住民税非課税世帯の学生には20万円を給付します。大学院や大学、専門学校、日本語学校などに通うおよそ43万人が対象で、必要な費用、531億円は予備費からの支出をすでに決めています。

<授業料の減免>
家計が苦しくなって学業の継続が困難になっている学生を支援するため学校側が授業料などの減免を行った場合には国が補助します。

<緊急小口資金の拡充>
生活に困っている人が当面の生活費などとして無利子で最大20万円を借りられる「緊急小口資金」について、申請が増加していることを踏まえ貸し付けの規模を大幅に拡充します。

事業継続に向けた支援

事業継続に向けた支援
<家賃支援>
店舗の賃料の負担を軽減するため「家賃支援給付金」を新たに設けます。対象となるのは売り上げが去年より、ひと月で50%以上減少した事業者や3か月で30%以上減少した事業者で、中堅・中小企業は月に50万円、個人事業主は25万円を上限に、原則、賃料の3分の2を半年間給付します。

また、複数の店舗を借りている事業者には例外措置として、上限額を中堅・中小企業は100万円、個人事業主は50万円に引き上げます。

<持続化給付金>
中小企業や個人事業主などに最大200万円を給付する「持続化給付金」の対象を拡大します。ことし1月から3月末までに創業した事業者で、いずれかの月の売り上げが1月から3月までの平均より50%以上減少したことを条件に給付の対象に加えます。

さらに、フリーランスのうち、収入を「雑所得」や「給与所得」として確定申告していた人も申請できるようにします。契約や支払いを証明する源泉徴収票や支払調書などの書類の提出が必要で、事業を行っていることを確認できた場合に対象になります。申請は原則、オンラインとし6月中旬をめどに受け付けを始める方針です。

<資金繰り支援・資本増強策>
経営が悪化する企業が増える中、影響の長期化によって企業が資本不足に陥るのを防ぐため、融資や出資のための12兆円規模の資金枠を新たに設けます。政府系金融機関による「劣後ローン」と呼ばれる返済順位が低い融資や、日本政策投資銀行を通じた大企業や中堅企業向けの出資枠の上積みを行うほか、地域経済活性化支援機構を通じた中堅・中小企業向けの出資や融資の枠を拡大します。

また、政府系や民間の金融機関が実施している実質、無利子・無担保の融資や日本政策投資銀行と商工中金を通じた特別な貸付制度、「危機対応融資」の融資枠を大幅に拡大します。

<公的資金の注入しやすく>
金融機関による資金繰り支援を後押しするため金融機能強化法を改正し、融資にあたる銀行や信用金庫の財務基盤が悪化するのに備え注入できる公的資金の枠を拡大するとともに条件も緩和します。